不倫相手が未成年でも慰謝料は請求できる?実例入りで弁護士が解説

不倫相手が未成年でも慰謝料は請求できる?実例入りで弁護士が解説
不倫相手が未成年(※)の場合、不倫相手に対して慰謝料請求したくても、慰謝料請求ができるのか、お悩みではありませんか。
結論からいいますと、不倫相手が未成年の場合であっても、慰謝料請求をすることは可能です。
ただし、未成年の不倫相手に対して慰謝料請求する場合には、大人に対して請求するのとは違い、慰謝料を回収できないなどのリスクがあります。
もっとも、親に代わりに支払ってもらうなど、交渉次第で慰謝料を回収できる場合もありますので、必ずしも諦める必要はありません。リスクも踏まえて慰謝料請求をするのか否かを判断しましょう。

この記事では、
  • 不倫相手(未成年)に対する慰謝料請求
  • 不倫相手(未成年)に対して慰謝料請求をするリスク
  • 不倫相手(未成年)に対して慰謝料を獲得した事例
について、弁護士が詳しく解説します。

不倫相手が未成年であることがわかり、慰謝料請求ができるのかお悩みの方、ぜひ参考にしてください。

※民法改正のため、2022年4月1日より、成人(成年)年齢は20歳から18歳に引き下げられました。

不倫相手が未成年|慰謝料請求できる?

不倫
不倫相手が未成年であったとしても、基本的に、大人と同じように慰謝料請求することは可能です。

基本的に慰謝料できるか否かは、不倫相手が大人である場合と同じように判断することになります。

一般的に、慰謝料請求ができる「不貞行為」にあたる不倫には、性行為・肉体関係をもつことが必要とされており、2人きりで会う、食事をする、手をつなぐという行為だけでは、基本的に慰謝料請求は難しいといえます。

たとえ未成年であるといえども、未成年との不倫が「不貞行為」に当たる場合には、基本的に、その不倫をした未成年者とその配偶者に対して慰謝料請求が認められることになるのです。

未成年者が慰謝料の責任を負わないことがある?

未成年者には、次のような決まりがあり、未成年者に事理弁識能力がない場合には、賠償責任(お金を払う責任)を負わないとされています。

未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

引用:民法第712条│e-Gov法令検索

「事理弁識能力」とは、簡単にいうと、自分のやったことが悪いことであることをわかる能力のことをいいます。
例えば、不倫で言えば、「不倫が悪いことである」とわかる能力のことをいいます。
裁判例では、通常12歳程度で「自分のやったことが悪いとわかる能力(事理弁識能力)」が備わっているとされています。

不倫相手が12歳以下であることは通常考えられないため、未成年者が不倫相手である場合に不倫の賠償責任を逃れるということはありません。

不倫相手が未成年|親に慰謝料を請求できる?

不倫相手(未成年)の場合に慰謝料請求ができる場合に、不倫相手(未成年)に代わり親に対して慰謝料請求をすることはできるのでしょうか。

不倫をしたのは未成年である不倫相手本人ですので、基本的に、法律上、その責任を負うのは未成年である不倫相手本人であって、親がその責任を負わなければならないというわけではありません。

つまり、不倫相手が未成年の場合に、不倫の慰謝料を親に対して請求することはできません。

もっとも、不倫相手(未成年)の親が自発的に慰謝料を支払う場合には、不倫相手(未成年)の親に対して慰謝料を請求することは可能です。
また、不倫相手(未成年)の親が慰謝料の連帯保証人となるという場合もありうるでしょう。

不倫相手が未成年である場合のリスク

不倫相手が未成年でも、基本的に不倫相手は慰謝料を払う義務があります。そのため、未成年である不倫相手に対して慰謝料請求をすることは可能です。

もっとも、未成年である不倫相手に対して慰謝料請求をした場合には、次のようなリスクがあることに注意が必要となります。
  1. 不倫相手が慰謝料を支払うお金をもっていない
  2. 不倫相手だけと慰謝料の支払いを合意しても、取消しされる
  3. 不倫が犯罪にあたり、不倫した配偶者が罰される
詳しく説明します。

(1)不倫相手が慰謝料を支払うお金をもっていない

相手が未成年の場合、お金を持っていないことも多く、不倫された人が慰謝料を請求しても空振りに終わってしまう危険性があります。

もっとも、未成年の親が慰謝料を肩代わりしてくれれば慰謝料を回収できることもありますが、未成年の親には、慰謝料の支払い義務は原則ありません。
そのため、あくまでも未成年者の親が慰謝料を肩代わりすることに自発的に同意してくれないと、未成年者の親から慰謝料を回収することは原則できません。

(2)不倫相手だけと慰謝料の支払いを合意しても、取消しされる

「不倫した未成年者が、不倫された人に対し慰謝料を払う」という合意をしたとしても、のちに取消されるおそれがあるのです。
というのも、親権者の同意なしに合意した場合、未成年者は、一定の場合に合意を取消しすることができるからです。

取消しを防ごうとすると、未成年者の親権者の同意(共同親権の場合は、親権者2人ともの同意)が必要になります。
そのため、慰謝料の交渉を行う際には、未成年者の親権者の同意を得るために、未成年者本人ではなく未成年者の親権者と交渉することが多いといえます。

(3)不倫が犯罪にあたり、不倫した配偶者が罰される

不倫相手が18歳未満の未成年であった場合、不倫した配偶者は「みだらな性行為」をしたとして、いわゆる青少年健全育成条例違反となるおそれがあるのです。

たとえば、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」に違反した場合、懲役2年以下、罰金100万円以下が課されます。

また、13歳未満の未成年との不倫の場合、未成年が同意していたとしても、強制性交等罪に問われるおそれがあります。

そのため、不倫の交渉をすることで、配偶者の不倫は犯罪であるとの反論を受ける可能性があります。

特に未成年者の親を巻き込んで示談交渉する場合には、親から「悪いのは不倫配偶者。子供は被害者」として犯罪だという主張が出てくる可能性が高まります。
不倫した配偶者が、交際相手のことを成人だと本当に信じていたという場合などには、罪に問われない可能性がありますが、警察からの取り調べなどは受ける可能性(場合によっては逮捕など)はあります。

不倫した配偶者と離婚しない場合などで、不倫した配偶者が犯罪者として立件されるのを避けたいと考える方の場合、特に注意が必要です。

不倫相手が未成年だった場合であっても慰謝料の獲得に成功した事例

ここで、不倫相手が未成年だった場合あっても慰謝料の獲得に成功した事例について紹介します。

妻が未成年と浮気。弁護士が裁判で適切な主張を行い、慰謝料180万円を獲得!

事例
妻の朝帰りが増え、浮気を疑い始めたTさん。ある日、仕事を終えて帰宅すると、妻と浮気相手が一緒にいるところに鉢合わせしてしまいました。Tさんは、妻と浮気相手に問い詰めると、浮気を認めましたが、浮気相手からの謝罪はなく、「慰謝料を支払え」と伝えたものの、音信不通になってしまいました。
Tさんは、浮気相手の誠意のない対応に激怒し、浮気・不倫の慰謝料に詳しい弁護士に話を聞きたいと当事務所にご相談くださいました。
Tさんから詳しくお話を伺うと、妻の浮気相手は未成年であり、浮気の責任を取って、きちんと慰謝料を払ってもらえるのか心配していました。

弁護士は、未成年でも浮気の責任を果たさなければならないことや、弁護士にご依頼いただければ、慰謝料の支払能力がない場合でも、親からの援助を打診するなど、支払を求めることができるとご説明しました。弁護士からの説明を聞いたTさんは、慰謝料を請求したいと決意し、当事務所にご依頼いただけることになりました。
ご依頼後、弁護士はさっそく浮気相手に対して「慰謝料を支払え」という内容の内容証明郵便を送りました。すると、浮気相手の両親から連絡があり、「Tさんの妻が交際に積極的であった。子どもに責任はない。慰謝料の支払は裁判で決めてほしい」と反論し、浮気相手もいっさい対応してもらえませんでした。

そこで、弁護士はTさんと相談して、浮気相手に責任を取らせるために訴訟を起こすことにしました。裁判では、「浮気の責任を取るべきである」と主張し、弁護士が適切な慰謝料の支払を強く求めました。

すると、交渉時は強気だった浮気相手から和解の申し出があり、180万円がTさんに支払われることで和解が成立しました。

※事例の内容はご相談当時の状況や条件等により異なります。

不倫相手が未成年である場合には弁護士に依頼することがおすすめ

弁護士
不倫相手が未成年の場合には、不倫相手(未成年)の親も含めた交渉が必要となります。
そのため、不倫相手が大人の場合よりも難しい交渉となる場合もあるため、専門的な知識や交渉力(経験)のある弁護士への依頼をおすすめします。

また、弁護士が慰謝料の支払い交渉を行う場合、弁護士が交渉すべてを代行しますので、あなたが自ら不倫相手やその親と連絡を取る必要はありません。
慰謝料の請求を検討するといった場合、当然配偶者や不貞相手に対する怒りも大きい場合が多いと思います。
そのような場合に、慰謝料交渉のために、自ら配偶者や不貞相手と連絡をとらなければいけないということは、肉体的にも精神的にも大きい負担がかかります。
弁護士が交渉を代行することで、あなたにかかる負担を減らすことができます。

さらに、弁護士は、慰謝料請求に限らずに、例えば、配偶者や不貞相手との関係を断ち切ったり、慰謝料の未払いなどのちに起こりうるトラブルを防ぐための和解書なども作成したりすることもできます。

【まとめ】不倫相手が未成年であっても、基本的に慰謝料請求は可能!

今回の記事のまとめは次の通りです。
  • 不倫相手が未成年であったとしても肉体関係を伴う不倫の場合には、基本的に、大人と同じように慰謝料請求することが可能。
  • 不倫相手が未成年の場合に、不倫の慰謝料を親に対して請求することはできないのが原則。しかし、不倫相手(未成年)の親が自発的に慰謝料を支払う場合には、不倫相手(未成年)の親に対して慰謝料を請求することは可能。
  • 不倫相手が未成年である場合のリスク
  1. 不倫相手が慰謝料を払うお金をもっていないおそれ
  2. 不倫相手だけと慰謝料の支払いを合意しても、取消しされるおそれ
  3. 不倫が犯罪にあたり、不倫した配偶者が罰されるおそれ
不倫相手が未成年である場合には交渉が難しい場合もありますので、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
アディーレ法律事務所では、浮気・不倫の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制で承っております。原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。

浮気・不倫の慰謝料請求でお悩みの方は、浮気・不倫の慰謝料請求の実績が豊富なアディーレ法律事務所へご相談ください。

浮気・不倫の慰謝料に関するご相談は
何度でも無料!

この記事の監修弁護士

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

林 頼信の顔写真
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