弁護士が教える夫婦喧嘩の原因・対処法と離婚検討時の注意点

夫婦喧嘩は多くの家庭で起こる日常的な出来事ですが、時には些細な行き違いから始まり、深刻な問題へと発展することもあります。
しかし、適切に対処すれば、むしろ関係を強化するチャンスにもなり得るのです。

本記事では、夫婦喧嘩の主な原因、夫婦喧嘩を防ぐ方法や仲直りの方法から、やむを得ず離婚を考えるに至った場合のアドバイスまでご紹介します。

夫婦喧嘩の主な原因

まず、夫婦喧嘩にありがちな原因をご紹介します。

(1)経済的問題

夫婦間の経済的問題は、夫婦喧嘩の主要な原因の一つです。
たとえば、収入の差、支出の管理方法、貯蓄の方針など、金銭に関する意見の相違が深刻な対立を引き起こすことがあります。特に、一方が浪費家で他方が倹約家の場合、軋轢が生じやすくなるでしょう。
また、共働き世帯での家計負担の割合や、専業主婦(夫)への小遣いの額なども争点となりがちです。
経済観念の違いを理解し、お互いの立場を尊重しながら、適切な家計管理を行うことが重要だといえるでしょう。

(2)コミュニケーション不足

夫婦間のコミュニケーション不足は、夫婦喧嘩の大きな要因となり得ます。
日々の忙しさや疲れから、互いの気持ちを伝え合う機会が減少し、誤解や不信感が生まれやすくなることがあります。
また、一方的な会話や、相手の話を十分に聞かない態度も問題を悪化させかねません。
感情的になりやすい話題を避けることで、重要な議論がなされないこともあるでしょう。
定期的に時間を設けて、お互いの思いや悩みを共有し、理解を深めることが大切です。

(3)価値観の相違

夫婦間の価値観の相違が、深刻な夫婦喧嘩の原因となることもあります。
人生の目標、子育ての方針、家族との付き合い方など、根本的な考え方の違いが表面化すると、互いを理解することが難しくなります。
たとえば、キャリア重視か家庭重視か、節約志向か享楽的か、といった生き方の違いが衝突することがあります。
これらの違いを早期に認識し、互いの価値観を尊重しながら、共通の基盤を見出すことが重要です。柔軟な姿勢と歩み寄りの努力が必要といえるでしょう。

(4)外部的要因(仕事、家族関係など)

夫婦喧嘩の原因は必ずしも二人の関係だけにあるわけではありません。外部的要因も大きな影響を与えることがあります。
たとえば、仕事のストレスや長時間労働が家庭生活に悪影響を及ぼし、イライラや疲労が喧嘩のきっかけになるかもしれません。
また、義理の両親との関係や、実家との付き合い方の違いも摩擦を生みやすい要因です。

これらの外部要因に対しては、互いの状況を理解し合い、協力して問題に対処する姿勢が重要です。

夫婦喧嘩の防止法

次に、夫婦喧嘩をなるべく回避する方法を紹介します。

(1)家事分担の明確化

家事の分担をめぐる不満は、夫婦喧嘩の大きな原因のひとつです。これを防ぐためには、家事分担を明確化することが効果的です。

まず、夫婦で話し合い、それぞれの得意分野や負担可能な範囲を確認しましょう。そのうえで、具体的にどの家事を誰が担当するか決めます。
たとえば、料理は妻、掃除は夫、洗濯は交代制といった具合です。

決めた分担は、カレンダーやホワイトボードに記載するなど、視覚化することで互いの役割を明確にするとよいでしょう。
また、定期的に分担の見直しを行うことも大切です。仕事の状況や体調の変化に応じて、柔軟に調整することが重要です。

このように家事分担を明確化することで、不公平感を減らし、夫婦間の協力体制を強化することができるでしょう。

(2)定期的な話合い

夫婦喧嘩を防ぐ効果的な方法の一つが、定期的な話合いの実施です。
たとえば、週に一度や月に一度など、決まった時間を設けて互いの思いや悩みを共有する機会を作りましょう。

この話合いでは、日々の生活で感じた不満や要望、将来の計画などを率直に話し合います。重要なのは、お互いを批判せず、相手の意見に耳を傾けることです。

また、家計や育児など、具体的なテーマを決めて話し合うのもよいでしょう。
定期的な対話によって、小さな問題が大きな喧嘩に発展するのを防げるだけでなく、夫婦の絆が深まるかもしれません。

夫婦喧嘩後の効果的な仲直り方法

では、喧嘩に発展してしまった場合はどうすればよいでしょうか。

(1)冷却期間を作る

夫婦喧嘩後の仲直りには、まず冷却期間を設けることが効果的な場合があります。
感情が高ぶっている状態では、建設的な対話は難しいからです。

お互いに一定の時間や距離を置くことで、冷静に状況を振り返り、相手の立場を考える余裕が生まれます。この間、別々の部屋で過ごしたりするのもよいでしょう。

ただし、冷却期間を設ける際は、相手に「考える時間が欲しい」と伝え、無視や放置と誤解されないよう注意が必要です。
適切な冷却期間を経ることで、より冷静かつ建設的な話合いが可能になります。

(2)第三者の介入

夫婦間の問題が深刻化し、二人だけでは解決が難しい場合、第三者の介入が有効な手段となり得ます。

信頼できる友人や家族に相談することで、新たな視点や解決策を得られることがあります。また、専門家のサポートを受けるのも効果的です。夫婦カウンセラーなどの専門家は、中立的な立場から問題の本質を見極め、適切なアドバイスを提供してくれるでしょう。

また、離婚など法的な問題が絡む場合は、弁護士の助言を求めることも検討しましょう。第三者の介入により、客観的な視点が加わり、問題解決への道筋が見えやすくなります。

夫婦喧嘩を理由とする離婚は可能?

夫婦喧嘩がヒートアップして夫婦仲が破綻した場合、離婚は可能かどうかについて説明します。

(1)夫婦が合意すればどんな理由でも離婚できる

日本の民法では、夫婦の双方が離婚に合意している場合、その理由を問わず離婚が可能です。これを「協議離婚」と呼びます。夫婦喧嘩が原因であっても、些細な理由であっても、双方が離婚に同意すれば離婚できるのです。

協議離婚の手続は比較的簡単で、基本的には離婚届に必要事項を記入し、役所に提出するだけです。

なお、協議離婚は簡単な手続である反面、財産分与や慰謝料、養育費などの取り決めが曖昧になりやすいため、これらの条件については十分な話合いと書面の作成をおすすめします。

(2)合意できなければ法定離婚事由が必要

夫婦の一方のみが離婚を望み、他方が同意しない場合、離婚調停を経て最終的には裁判所に離婚を認めてもらう必要があります。この場合、民法で定められた5つの法定離婚事由のいずれかに該当することを証明する必要があります。

5つの法定離婚事由は次のとおりです(民法第770条1項各号)。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用:民法|e-Gov 法令検索

単なる夫婦喧嘩だけでは、通常、法定離婚事由に該当しません。ただし、暴力を伴う喧嘩が繰り返されるなど、「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められる場合は離婚が認められる可能性があります。

法定離婚事由について詳しく見る

離婚を決意したらしておきたいこと

夫婦喧嘩の末、もし離婚することを決意したのであれば、前もってしておいたほうがよいことがあります。
離婚を決意した場合、まず離婚条件について十分に検討することが重要です。主な検討事項は次のとおりです。

  1. 財産分与:婚姻中に築いた財産をどのように分けるか。
  2. 慰謝料:不倫をしたなど有責配偶者がいる場合、その額をどうするか。
  3. 親権:子どもの親権をどうするか。
  4. 養育費:誰がいくら負担するか。
  5. 面会交流:子どもと離れて暮らす親との面会の頻度・方法をどうするか。
  6. 年金分割:(夫婦ともに厚生年金保険を支払っていた場合)分割割合をどうするか。

これらの条件を決める際は、感情的にならず、将来の生活を見据えて冷静に判断することが大切です。
慰謝料や養育費などの支払いは、残念ながら、支払いが滞ってしまうケースも少なくありません。
このような事態に備え、金銭を支払う内容の離婚条件がある場合には、離婚協議書は、公証役場で強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくことをおすすめします。

離婚を決意したら弁護士に相談しよう

離婚を決意したら、早い段階で弁護士に相談するとよいでしょう。

弁護士に相談・依頼することで得られるメリットは次のとおりです:

  1. 法的アドバイス:離婚手続きや財産分与、養育費などについて専門的なアドバイスが得られます。
  2. 交渉力の強化:相手方との交渉を有利に進めるための戦略を立てることができたり、弁護士に相手方との交渉をしてもらえたりします。
  3. 書類作成のサポート:離婚の交渉に必要な書類を作成してもらえたり、作成を手伝ってもらえたりします。
  4. トラブル回避:将来的なトラブルを防ぐための適切な取り決めができます。

弁護士費用が気になる方もいるかもしれませんが、長期的に見れば適切なアドバイスを受けたり、適切な交渉をしてもらえたりすることで、より有利な条件での離婚が可能になり、結果的にコストを抑えられる可能性があります。

【まとめ】

夫婦喧嘩は様々な原因から生じますが、経済的問題やコミュニケーション不足など、原因を理解し、家事分担の明確化や定期的な話合いを通じて予防できる可能性があります。

しかし、離婚を考えるほど関係が悪化した場合は、冷静に離婚条件を検討することも重要です。
最終的に離婚を決意したら、弁護士に相談し専門的なアドバイスを受けることで、より円滑な手続が可能になるでしょう。

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この記事の監修弁護士
林 頼信
弁護士 林 頼信

どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

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